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   ハタケの学校−畑地かんがいの原点を振り返る
意見交換会(要約)
1.趣旨

  TPPへの参加の是非を巡る議論が行われている。
  TPPは、多くの産業分野が対象になっており、特に、農業分野においては、例外なき関税撤廃が行われると、
 甚大な影響が出ると予測されている。
  そこで、「TPPに対してどのように向き合うのか」のヒントを得るために、南薩地域におけるJAの活動を踏まえながら、
 意見交換を行う。


2.JAいぶすきの活動状況

・農家組合員の世代交代
 准組合員(※1)が正組合員を上回っている
・「JAグループのめざす姿(10年後)」として、「持続可能な農表の実現」と「豊かで暮らしやすい地域社会の実現」の
 2点を目標に掲げている。
 身近なJAの支店・支所を核に、多様な世代が協同組合活動に参加できるような地域のつながりを構築する。
・「担い手経営体と一体になって生産・販売力を高め、所得向上を支えます。」
 JAの担当者が、担い手経営体を訪問し、担い手経営体の「経営」「生産状況」に応じた事業提案を行う。
 このため、担い手の育成・支援の取組みとして、SAPを設置。(現在3名)
  S:組織一員(スタッフ) A:農業(アグリカルチャー) P:振興(プロモーション)
・JAは、情報の収集力、ネットワークで地域の最も総合力のある組織である。
 農協合併とは、サービスと組織の合理化・体質強化をどうするのかのせめぎ合いである。
 SAPの取組みを評価する、声が届く、目が届くが基本。
・広域合併や支所の統廃合で、組合員からJAの総合性が見えづらい、また組合員とJAに距離感を感じる、
 組合員とのつながりが希薄化している、という声がある。
 営農指導員SAPについても、地元からは、「中まで入り込んできていない。」等の批判もある。


3.TPP

・TPPに参加すると日本の食糧自給率は14%に下がる。
 鹿児島県の損失額は、5,667億円になる、と予測されている。
 WTOの下、各国が公平かつ平等な条件で、多様な農業が共存できるルールづくりをするべき。
・TPPは、これまでの貿易自由化と全然違う、安心・安全の基準が引き下げられるという点からすると、
 国民一人一人の問題である。JAの組織力で阻止するべき。
・後継者への経営移譲もこうしたTPPという不安材料の中で進めなければいけないことにもどかしさを感じる。


4.畑かん営農

・水を利用した農家の所得向上対策として、サツマイモの「畝間湛水超早掘りハウス栽培」に取組み成功。
 農協と普及所、役場が一体的に取り組んだ成果である。
・畑かん営農は、施設管理の側と営農、企画する側とが一体になって進めるべき。
 担い手農家、認定農業者、集落営農等への重点化・集中化に加え、特に南薩畑かん地域の課題は、
 施設の補修、更新がある。
・攻めの畑かんと守りの畑かん
 作物栽培の水利用効果と併せていかに推進を図るかが基本。
 計画的な畑かん営農は、組織の問題、かんすい器具を含めた施設整備の問題。
・農政、農業振興には、南薩の畑かん営農振興会のような農業者の受け皿づくりが不可欠。
 語らいのない所には農業の生産も振興もない。


5.営農の展開方向

・TPPもさることながら、今後の農業の生き残りをどうやっていくかが問題。
 今の農業で儲かる作物はない、資材価格の適正化、6次産業化の推進など、きめ細かな経営者としての感覚を磨くべき。
・生産者と消費者の信頼関係、生産から消費までの時間短縮が必要。余計な中間流通を省く。
・組合員あっての農協であるが、資材価格の競争などJAの弱点は営業力である。
・畑かんの通水が始まった頃は、八百屋を中心にした流通が主体であったが、今は、商社、有機栽培等のこだわり商品、
 直売所、さらにインターネットと多様化し、農協の共販率も低下。
 共販率の低下は、農産物価格にも影響、今後は農協ルートを再点検か。
・6次産業化では、知覧で金峰町のゴマ生産組合での取組みがある。
 製品を作って自分で値段をつけるということに大きな意味がある。
・6次化について大きな関心を持っており、後継者と一緒にいろいろな研修会に参加している。
 今後、どう生き残るかの有力な一つの手段としてとらえている。


6.担い手(後継者、農村女性)

・農村女性の地位向上
 知覧町独自の取組みとして、海外農村女性研修。
 農村女性グループ「野の花会」の創設、海外研修をはじめ、若手女性の育成・支援、
 さらに会員の資質向上のための研修等を実施。
・後継者には、両親の農業の継承ではなく、本人のビジョンが必要、そのためには、外に出て研修や勉強を積み重ね、
 視野を広げることが重要。
・就農する前に、幅広い考え方を養成する目的で、種苗会社で8年数か月働いた。
 いろいろな農家の話を聞くことが出来て、今の農業に役立っている。
・今後、どう経営を展開していくか、明確な考えはない。
 これから、子供の成長に合わせて生活費が必要になる一方で、両親の労働力もいつまでも当てにするわけにいかない、
 という不安を抱えているが、とにかく今は、キャベツなどあまり手間のかからない作物を少しずつ広げながら
 日々の仕事をこなしている。


7.コメンテーターまとめ

・イギリスの食糧自給率向上の要因の一つに、一貫した食生活スタイルがある。
 すなわち、パンや乳製品を中心にした食生活である。小麦はイギリスの気候・風土に合った作物であり、
 日本においても同様にアジアモンスーン気候に合った作物の生産を行うべき。
・池田湖の水利用には、多くの産業が利害関係を有している。
 今後、水不足という事態を回避するためには、水利用のルールづくりが必要である。
・池田湖の水質に関して、農業が加害者と言われると、国民の農業に対するサポートを得られなくなるので、
 農業は国土・環境を保全する機能を持っている、保全者だということを強調すべき。



※1 准組合員
   農業者以外で、農協が行う銀行、保険業務等の利用を希望する場合、准組合員になる必要があるが、
   正組合員と違い、農協役員の選挙権や農協運営に関する議決権はない。